薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


2021-01-01から1年間の記事一覧

混合してはいけない塗り薬

以下の薬剤は、添付文書にて他剤との混合が禁止されている。 // 【混合してはいけない外用塗布薬】 ・イソジンシュガーパスタ軟膏・ネオヨジンシュガーパスタ軟膏・ネグミンシュガー軟膏・ユーパスタコーワ軟膏・ポビドリンパスタ軟膏・メイスパン配合軟膏・…

点鼻薬性鼻炎

点鼻薬性鼻炎とは、点鼻薬に含まれる血管収縮剤により引き起こされる鼻閉。 主にOTCの点鼻薬に含まれる、ナファゾリンやテトラヒドロゾリンなどのα1受容体作動薬が原因となることが多い。 // *病態 血管収縮剤の点鼻を連用すると、鼻粘膜の毛細血管の収縮が…

脂質異常症治療薬の血清脂質への影響の違い

現在、脂質異常症に使用されてる主な薬剤は、①スタチン系、②フィブラート系、③小腸コレステロールトランスポーター阻害薬に分類される。 血管イベントの予防に重要な血清脂質としては、中性脂肪(TG)、LDLコレステロール(LDL-C)、総コレステロールからHDL…

チラーヂンSによる抗うつ作用

甲状腺機能低下症では、倦怠感や精神不安定、食欲低下、意欲・集中力の低下、無気力・無関心などの症状がみられ、うつ病の症状と類似している。 甲状腺機能低下症による精神症状の慢性化が、うつ病の発症を来す場合もある。 近年の研究では、甲状腺機能低下…

抗うつ剤の増強療法

うつ病の治療において、抗うつ剤の投与で効果が不十分である場合に、非定型抗精神病薬や気分安定薬を併用することがある。 これらの併用療法は「抗うつ剤の増強療法」と呼ばれる。 // *増強療法に使用される薬剤 増強療法では、以下の薬剤などが抗うつ剤と…

テオフィリンと抗菌薬の相互作用

テオフィリンと一部のマクロライド系およびニューキノロン系抗菌薬を併用することで、テオフィリンの血中濃度が上昇する。 以下の薬剤が併用注意になっており、併用する場合にはテオフィリンの減量などを検討する必要がある。 【テオフィリンと併用注意の抗…

ビスホスホネート製剤服用によるインフルエンザ様症状

ボナロン(アレンドロン酸Na)やアクトネル(リセドロン酸Na)などのビスホスホネート製剤を服用した後に、発熱や関節痛、全身倦怠感、頭痛、悪寒などのインフルエンザ様症状が現れることがある。 これらの症状は急性期反応(APR)と呼ばれ、多くの場合で投…

血液透析による痒みと治療薬

透析を受けている患者のうち、6割以上の患者が皮膚の痒み(そう痒症)を訴えるという。 そう痒症は睡眠障害を引き起こし、QOLの低下に直結するため積極的な介入が求められる。 *痒みの原因 // 透析患者のそう痒症は、以下の複数の要因が関わっていると考え…

鉄剤の隔日投与による吸収率の向上

2017年に海外で報告された研究で、鉄剤の投与間隔によって鉄の吸収率が異なることが示唆された。 その研究によると、硫酸鉄を連日投与した場合よりも隔日投与した方が、吸収率が向上するとされている。 *研究内容要約 鉄欠乏性貧血の18〜40歳の女性に対して…

腎前性腎障害・腎性腎障害・腎後性腎障害

急性腎障害は、数時間から数日の間に急激に腎機能が低下している状態。症状としては、乏尿や無尿が現れる。 腎臓自体には原因がない場合もあり、その発生原因により腎前性、腎性、腎後性に分類される。 // *急性腎障害の分類 腎前性急性腎障害腎臓に流入す…

汗をかきにくくなる薬

トピラマート(トピナ)やゾニサミド(エクセグラン/トレリーフ)には、発汗減少作用がある。 発汗が抑えられることで体温を上昇させる作用があるため、特に夏季には注意が必要。 // *発汗抑制の機序 トピラマートやゾニサミドが発汗を抑制する機序は明確…

インスリン療法導入の基準

2型糖尿病の治療において、インスリン療法の導入を検討する際のとして指標としてC-ペプチドインデックス(CPI)が用いられる。 // *CPIとは? CPIは以下の計算式で求められる。 CPI = 空腹時の血中CPR値(ng/ml)÷ 空腹時血糖値(mg/dl) × 100 ※ CPR=C-…

2型糖尿病のタイプ

生活習慣が原因となる2型糖尿病は、インスリン分泌低下型とインスリン抵抗性亢進型の2タイプに大別することができる(どちらのタイプも併せ持つ場合もある)。 インスリン分泌低下型インスリン分泌能が低下していることが、主な原因となる。治療薬は、インス…

サイアザイド系がループ系よりも電解質異常を起こしやすい理由

サイアザイド系利尿薬とループ系利尿薬には、どちらも尿細管においてNa(ループ系はKも)の再吸収を抑制し、K分泌を亢進させるため、低ナトリウム血症と低カリウム血症の副作用(電解質異常)がある。 ループ系利尿剤の方が、利尿作用が強力であるため電解質…

ヒルドイドの剤形による効果の違い

ヒルドイドは、ヘパリン類似物質を有効成分とする外用薬。 血行促進作用と皮膚保湿作用をもつ。 保湿効果をメインに処方されるヒルドイドとしては、現在4つの剤形が発売されている。 いずれもヘパリン類似物質の濃度は0.3%。 ヒルドイドの剤形 ・クリーム(…

[新薬]ジセレカ錠

*一般名 フィルゴチニブ マレイン酸塩 *規格 100mg / 200mg *適応症 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む) // *用量・用法 通常、成人にはフィルゴチニブとして200mgを1日1回経口投与する。 なお、患者の状態に応じて10…

トラゾドンの睡眠改善効果

トラゾドン(デジレル/レスリン)は、抗うつ剤であるが鎮静作用を併せ持つため、睡眠改善効果を期待して処方されることがある。 抗うつ剤としての通常量は75mg〜200mgなのに対し、睡眠改善を目的とする場合では25mg〜100mgと少用量で服用する。 ベンゾジア…

PPIによる下痢

プロトンポンプ阻害剤(PPI)の服用により、下痢が継続して起こることがある。 原因として、偽膜性大腸炎によるものと膠原線維性大腸炎によるものがあると考えられる。 いずれもPPIの中止で改善される。 // *偽膜性大腸炎 クロストリジウム・ディフィシル菌…

[新薬]リベルサス錠

*一般名 セマグルチド(遺伝子組換え) *規格 3mg / 7mg / 14mg *適応症 2型糖尿病 // *用法・用量 通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として1日1回7mgを維持用量とし経口投与する。 ただし、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1…

糖尿病とラジレス錠

ラジレス(アリスキレン)は、直接的レニン阻害薬で高血圧の治療薬。 ACE阻害薬またはARB投与中の糖尿病患者には禁忌となっている。 添付文書 禁忌項目より一部抜粋 アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を投与中の糖尿病患者…

ACE阻害薬からエンレストへの変更

エンレストの有効成分は、ARBのバルサルタンとネプリライシン(NEP)阻害薬のプロドラッグであるサクビトリルを、分子量比 1:1で含有する複合体。 服用後は速やかにバルサルタンとサクトビルに解離し、それぞれ心不全の治療効果を発揮する。 // *ACE阻害薬…

オキシコンチンTR錠とオキシコドン徐放錠NX

オキシコンチンTR錠とオキシコドン徐放錠NX「第一三共」は、どちらも乱用防止を目的に開発されたオキシコドン徐放性製剤。 オキシコンチン徐放製剤は1錠あたりのオキシコドン含有量が多いため、錠剤からオキシコドンを抽出し、注射や吸入などの方法で乱用さ…

ミカムロからミカトリオへの切り替え時の注意点

ミカトリオ配合錠は、テルミサルタン80mg、アムロジピン5mg、ヒドロクロロチアジド12.5mgを配合している高血圧治療薬。 ミカトリオ配合錠は、ミカムロ配合錠BPにヒドロクロロチアジド12.5mgが追加されているだけであるため、ミカムロBPで降圧効果が不十分な…

口内炎にアロプリノール

抗がん剤の副作用の1つに、口内炎が挙げられる。 抗がん薬による口内炎は、抗がん薬による直接作用と白血球減少に伴う口腔内の局所感染によって起こると考えられている。 予防方法として口腔内を清潔に保つ(口腔ケア)、口腔内の冷却、口腔内の乾燥防止、禁…

胃切除後に処方されるα−GI

胃切除後の患者にα -グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)が処方されることがある。 これは胃切除後のダンピング症候群を改善するため。 // *ダンピング症候群とは ダンピング症候群とは、胃切除した患者で摂取した食物が急速に小腸に流入することで起こる症状のこ…

エフピーからアジレクトへの切り替え

エフピー(セレギリン)とアジレクト(ラサギリン)はどちらも選択的MAO-B阻害薬で、パーキンソン治療に使用される。 エフピーからアジレクトへの切り替え、またはアジレクトからエフピーへの切り替えの際には、少なくとも14日間の間隔を置かなければならな…

CKが上昇する要因

クレアチニンキナーゼ(CK)の上昇と聞くと、薬剤師としては第一に薬の副作用による横紋筋融解症を疑うかもしれない。 しかし、横紋筋融解症以外にもCKが上昇する要因は数多くあるため、“CK上昇⇒ 横紋筋融解症⇒ 服用中止”という短絡的な考えは避けるべきであ…

GLP-1の作用

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は小腸から分泌されるペプチドホルモンで、インクレチンの一種。 インクレチンとは、食事の摂取により消化管から分泌され、膵臓β細胞に作用してインスリン分泌を促進する消化管ホルモンの総称。 GLP-1は、2型糖尿病の治療薬…

トルリシティ皮下注による下痢

トルリシティ(デュラグリチド(遺伝子組み換え))は、GLP-1受容体作動薬で2型糖尿病の治療に用いられる。 トルリシティ投与により、重篤な下痢が引き起こされる場合がある。 // *機序 GLP-1は消化管に作用し、消化管運動低下や胃内容排泄遅延を引き起こすこ…

ゼローダによる手足症候群

経口抗がん薬のゼローダ(カペシタビン)の特徴的な副作用として手足症候群が挙げられる。その症状は対策により予防・軽減することが可能であるため投薬時・服用後のフォローが重要。 // *手足症候群とは 手足の皮膚の細胞が障害されることで、手足の感覚異…