薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


アトピー性皮膚炎に対するJAK阻害内服薬

アトピー性皮膚炎に対しては近年、寛解導入療法においてJAK阻害内服薬が期待されている。

 

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*JAK阻害薬とは?

JAK(Janus kinase)阻害薬は、JAK-STATシグナル伝達経路を抑制することで炎症を軽減する。
アトピー性皮膚炎の発症には、JAK-STAT経路を介して働く炎症性サイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31など)が関与しているため、JAK阻害薬はそれらを抑制することで皮膚の炎症やかゆみを改善する。

特にデュピルマブが使えない患者やステロイドで十分な効果が得られない患者に対して有用な選択肢となる。

 

*JAK阻害薬のメリットとデメリット

【メリット】
 ・かゆみに対して速効性がある(IL-31シグナル抑制)
 ・ステロイドや生物学的製剤が効かない場合の新たな選択肢
 ・炎症全体を抑制し、多くの患者に有効

【デメリット】
 ・感染症リスク増加(特に帯状疱疹)
 ・血栓症、肝機能障害、貧血などのリスク
 ・長期使用の安全性が未確立
 ・薬価が高額

 

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*アトピー性皮膚炎に対するJAK阻害内服薬

現在、日本でアトピー性皮膚炎に適応を持つJAK阻害薬は3種類。

① アブロシチニブ(商品名:サイバインコ)
 ・JAKの選択性:主にJAK1を阻害
【特徴】
 ・かゆみの原因であるIL-31のシグナルを強く抑制
 ・比較的速効性があり、数日以内にかゆみが軽減
 ・中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に適応
【副作用】
 ・消化器症状(悪心、嘔吐、下痢)
 ・頭痛
 ・感染症リスク(帯状疱疹、肺炎など)

② ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)
 ・JAKの選択性:主にJAK1を阻害
【特徴】
 ・炎症やかゆみの改善効果が高く、皮膚症状も改善
 ・1日1回の服用で効果が期待できる
 ・ステロイドやデュピルマブ(生物学的製剤)に抵抗性がある場合の選択肢
【副作用】
 ・帯状疱疹のリスク増加
 ・血栓症リスク(頻度はまれ)
 ・肝機能障害

③ バリシチニブ(商品名:オルミエント)
 ・JAKの選択性:JAK1およびJAK2を阻害
【特徴】
 ・皮膚の炎症を抑える効果があり、湿疹・かゆみを改善
 ・他のJAK阻害薬と異なり、JAK2にも作用するため、より広範囲の免疫反応を抑制
 ・デュピルマブが使用できない場合の代替選択肢
【副作用】
 ・感染症(特に帯状疱疹、尿路感染症)
 ・血栓症リスク
 ・貧血(JAK2が造血に関与するため)
 ・肝機能障害

 

 

※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。