後天性反応性穿孔性膠原線維症(Acquired reactive perforating collagenosis:ARPC)は、皮膚から変性した膠原線維が透過・排出される「穿孔性皮膚症」の一種であり、慢性掻痒と特徴的な中心性の陥凹・栓子形成を伴う丘疹を呈する稀な疾患である。基礎疾患として糖尿病と慢性腎不全(特に透析患者)に高頻度で合併する。
近年、ARPCに対する薬物治療のひとつとして、アロプリノールの有用性が報告されている。
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*ARPCの特徴と病態
ARPCは、以下の病理学的変化を特徴とする。
表皮にトンネル状の孔(perforation)が形成され、その孔を通じて変性膠原線維が表皮外へ排出される(transepidermal elimination)。
強い掻痒 → 皮膚損傷 → コラーゲン変性 → 排出促進という悪循環が形成される。
病変は四肢や体幹に多発し、慢性化しやすく、糖尿病や腎不全では、AGEs(糖化最終産物)や尿毒素の蓄積により、膠原線維の変性・線維化が進みやすいことが発症機序に関与すると考えられている。
*アロプリノールが有効とされる理由
アロプリノールはキサンチンオキシダーゼ阻害薬であるが、ARPCに対して次の理由で効果が期待される。
①酸化ストレスの抑制
キサンチンオキシダーゼは、活性酸素(ROS)生成、炎症刺激に関与する酵素である。アロプリノールはこれを阻害し、皮膚での酸化ストレス・炎症を軽減し、膠原線維変性を抑制すると考えられる。
②糖化・膠原線維硬化の改善可能性
糖尿病患者ではAGEsによるコラーゲン架橋が進むが、アロプリノールにはAGEs形成を抑制する作用が報告されている。これにより、ARPCの根幹にある膠原線維の異常代謝を改善する可能性が指摘される。
*臨床研究・症例報告
多数の症例報告・小規模後ろ向き研究にて以下が報告されている
・掻痒軽減
・新規病変の減少
・既存病変の改善(陥凹・栓子の減少)
糖尿病・透析患者でも良好な反応で、投与量は 100〜300 mg/日 程度が多い。
効果発現は数週間〜2ヶ月程度が一般的。
大規模試験は存在しないが、難治性ARPCへの治療候補として広く認識されつつある。
*ARPCにおけるその他の治療
アロプリノールは治療選択肢の一つであり、単独で全例改善するわけではない。
他に報告されている治療法として以下のものがあり、ARPCは慢性難治性で再発も多いため、複数の治療を組み合わせることもある。
・抗ヒスタミン薬(掻痒対策)
・ステロイド外用薬
・レチノイド(外用・内服)
・ナローバンドUVB
・抗菌薬(ミノサイクリン)
・基礎疾患治療(血糖管理、CKD管理)
*まとめ
後天性反応性穿孔性膠原線維症(ARPC)は、変性した膠原線維が皮膚から排出される稀な皮膚疾患であり、糖尿病・腎不全に合併することが多い。
アロプリノールは、酸化ストレス軽減、AGEs形成抑制、炎症改善といった機序により、ARPCの皮疹・掻痒を改善する有望な治療薬とされている。