ベルソムラ(スボレキサント)、デエビゴ(レンボレキサント)、クービビック(ダリドレキサント)、などのオレキシン受容体拮抗薬(DORAs)は、不眠症治療薬として広く処方される。睡眠薬の中では概ね安全性が高い薬剤であるが、一部の患者では悪夢・異常な夢の増加が報告されており、臨床的にも留意すべき副作用の一つである。
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*なぜ悪夢が起きるのか
①レム睡眠増加
オレキシンは、覚醒維持とレム睡眠抑制に関与する神経ペプチドであり、オレキシンの働きをブロックすると、レム睡眠が増加しやすくなる。
レム睡眠は夢をもっとも多く見る睡眠段階であるため、結果として夢の内容が鮮明化し、悪夢が増えると考えられている。
②REM-onニューロンの活動亢進
オレキシン拮抗作用により、橋網様体のREM-onニューロンが相対的に優位となり、視覚的に生々しい夢の発生が促進される可能性がある。
③中途覚醒の減少
DORAsは中途覚醒を減らすため、夢の内容を覚えている確率が上昇し、悪夢として自覚しやすい。
*発症頻度
副作用報告としては「悪夢・異常な夢」は1〜5%程度とされ、SSRIやβ遮断薬と同程度。
*発症時期
開始初期(数日〜1週間以内)に出現しやすい。多くは数日〜数週間で軽減。用量依存性があると報告されている。
*夢の特徴
視覚的に非常に鮮明、情動性が強い(恐怖、焦燥、追跡される夢など)。
悪夢に伴う覚醒が起こる例もある
*対処法
①用量調整
悪夢は用量依存性があるため減量で改善するケースが多い。
②投与時間の調整
寝る直前よりも就寝30分前への変更により、レム睡眠への影響を減らすことがある。
③他剤への切り替え
レンボレキサント → ダリドレキサント、スボレキサント → レンボレキサントなどDORAs間の変更でも改善する例がある。
*まとめ
オレキシン受容体拮抗薬は、生理的な睡眠構築を改善する一方で、レム睡眠の増加・情動夢の鮮明化により、悪夢が増えることがある。
発症頻度は高くないものの、心理的ストレスの大きい夢や夜間覚醒につながる場合があるため、用量調整・他剤切り替えなどの対応が重要となる。
※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。