薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


プロトピック軟膏の発癌リスク

 

プロトピック軟膏(タクロリムス水和物軟膏)の添付文書では、発癌リスクについて以下のように警告されている。

マウス塗布がん原性試験において、高い血中濃度の持続に基づくリンパ腫の増加が認められている。また、本剤使用例において関連性は明らかではないが、リンパ腫、皮膚がんの発現が報告されている。

 

*実際の発癌リスクは?

以下のことから、アトピー性皮膚炎患者に対するプロトピック軟膏の使用が、リンパ腫および皮膚癌の発現への実際の影響はないと考えられている。

 

【マウスにおけるリンパ腫の増加について】

マウスの皮膚はヒトの皮膚よりも薄いため、経皮吸収率がヒトの100〜200倍あり、血中濃度が上昇しやすい。

また、タクロリムス水和物は分子量が大きく、正常なヒトの皮膚に塗布した場合にはほとんど吸収がみられないため、症状が改善するに従って吸収率は低下する。

これらのことから、ヒトの皮膚に塗布した場合には、高い血中濃度が持続する可能性は低い。

 

【リンパ腫・皮膚癌の発がんリスクについて】

プロトピック使用者で、リンパ腫および皮膚癌の報告はあるが、いずれも自然発生率を超えるものではないため、プロトピックを使用したからといって発癌のリスクが上昇するとはいえない。

また、小児アトピー性皮膚炎に対する0.03%製剤の長期使用(7年間)において、有害事象としての悪性腫瘍の発現はなかったと報告されている。

 

 

※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。