薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

フレイルとは

フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、加齢により心身が老い衰えた状態。 加齢に伴い、意図しない衰弱、筋力の低下、活動性の低下、認知機能の低下、精神活動の低下などの脆弱な状態(=フレイル)を経て要介護状態へと移行することが多いこ…

LESを弛緩させる薬剤

胃食道逆流症(GERD)の原因の一つとして、下部食道括約筋(Low Esohageal Sphincter : LES)の弛緩がある。 LESは、収縮することで胃内容物が食道に逆流しないように働いているため、LESが弛緩するとGERDのリスクが高まる。 薬剤がLESを弛緩させてしまうこ…

ヒドロクロロチアジドの皮膚癌リスク

ヒドロクロロチアジド含有薬剤の添付文書には、発癌リスクの増加について以下のように記載されている。 海外で実施された疫学研究において、ヒドロクロロチアジドを投与された患者で、基底細胞癌及び有棘細胞癌のリスクが増加することが報告されている。 *…

簡易懸濁法とは

簡易懸濁法とは、錠剤粉砕や脱カプセルをせずに、錠剤・カプセルをそのまま55℃のお湯に崩壊、懸濁させて、経管投与する方法。 55℃である理由は、日本薬局方によりカプセルは37±2℃の水で10分以内に溶けることと規定されており、10分間室温で放置しても37℃以下…

認知症の病型と特徴

認知症とは、獲得した複数の認知・精神機能が、意識障害によらず日常生活や社会生活に支障をきたす程に持続的に障害された状態をいう。 原因により、主にアルツハイマー型、血管性、レビー小体型の3つの型に分類される。 複数の病型を併発する場合もある。 …

プロトピック軟膏の発癌リスク

プロトピック軟膏(タクロリムス水和物軟膏)の添付文書では、発癌リスクについて以下のように警告されている。 マウス塗布がん原性試験において、高い血中濃度の持続に基づくリンパ腫の増加が認められている。また、本剤使用例において関連性は明らかではな…

シックデイの対応

シックデイとは、糖尿病患者の体調不良の日のことで、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などにより十分な食事が摂れないため、血糖コントロールが難しい状況となる。 食事が摂れない状況でも、体調不良時にはインスリンの働きが悪化したり、血糖値を上昇させるホル…

高山病とダイアモックス

高山病は、登山時における低酸素環境によって引き起こされる酸素欠乏症。 酸素濃度が徐々に低下していく環境においては、延髄の呼吸中枢の活性化などにより、肺における酸素の取り込みが促進されるため、酸素欠乏状態になることは少ないが、登山時など急激に…

骨密度の検査方法

骨粗鬆症の診断には、骨密度のYAM(Young Adult Mean)値との比較が用いられる。 YAM値とは、若年成人(20〜44歳)の平均値のこと。若年成人平均値を100%として、現在の骨密度が何%かを算出する。 骨密度(BMD)=単位面積あたりの骨量(g/㎠) 【YAM値と…

こむら返りの原因と予防法

こむら返りは、ふらはぎの筋肉が収縮したままの状態で、激しい痛みを伴う。 「こむら」とはふくらはぎのこと。関西では「こぶら返り」とも呼ばれる。医学的には、「筋クランプ」や「有痛性筋痙攣」と称される。 治療薬としては筋肉の痙攣を抑制する、芍薬甘…

HbA1C値に影響を与える要因

以下の要因は、HbA1C値に影響を与えることが報告されている。 *HbA1C値に影響を与える要因 鉄欠乏性貧血、腎性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血 赤血球の産生減少および寿命延長により、偽高値となる。 大量出血、鉄欠乏性貧血の回復期 赤血球の産生増加および…

突発性発疹とは

突発性発疹は、小児バラ疹とも呼ばれる、生後6ヶ月〜1歳半までの時期にかかりやすいウイルス感染症。初めて乳幼児が発症する感染症の代表格とされる。 3歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれている。 *原因 ヒトヘルペス6型、ヒトヘルペス7型による…

フラベリックによる聴覚異常

フラベリック(ベンプロペリン リン酸塩)は、中枢性非麻薬性の鎮咳薬。 特徴的な副作用に聴覚異常がある。 *聴覚異常について フラベリックで報告されている聴覚異常は、“全ての音が半音低く聞こえる”というもの。 聴覚異常が起こる機序は明確になっていな…

ネイリンの特徴

ネイリンは、2018年に約20年ぶりに発売された経口爪白癬治療薬。 以下、まとめ。 *一般名 ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物 *規格 カプセル 100mg のみ *適応症 皮膚糸状菌(トリコフィトン属)による爪白癬 *用法 通常、成人には1日1回1カ…

鎮咳薬の種類と特徴

鎮咳薬は大きく、中枢性と末梢性に分類され、中枢性鎮咳薬はさらに麻薬性と非麻薬性に分類される。 末梢性は気管や気管支に、中枢性は延髄の咳中枢に働き鎮咳作用を発揮する。 【中枢性麻薬性鎮咳薬】 ・コデイン リン酸塩・ジヒドロコデイン リン酸塩 【中…

漢方薬と食物アレルギー

漢方薬を構成する生薬は天然の素材であるため、一部の食物アレルギーを持つ患者では、アレルギー症状を引き起こす可能性がある。 実際にアレルギー症状を発症するのはごく稀。また、カキと牡蠣(ボレイ)のように食用部位と薬用部位が異なる場合は問題となら…

睡眠時無呼吸症候群の治療薬

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、睡眠中に上気道が閉塞し、無呼吸や低呼吸が生じる病態。 OSASの治療としては、CPAP治療、マウスピース治療、外科的手術が主であるが、補助的に薬物療法が行われることがある。 現在、保険適応になっているものは、ダイアモッ…

サインバルタの鎮痛効果

抗うつ剤であるサインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)は、鎮痛効果も認められている。 現在、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症による疼痛に適応をもつ。 *鎮痛作用の機序 痛みを抑制する神経に「下行性疼痛抑制系神経」がある。 こ…

アレサガテープの特徴

アレサガテープは、国内初の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療薬。 有効成分は、エメダスチンフマル酸塩。 *規格 4mg/8mg *適応症 アレルギー性鼻炎 *特徴 ・有効成分のエメダスチンフマル酸塩は、第2世代の抗ヒスタミン薬で、レミカットと同一成分。 ・適…

徐脈に対するシロスタゾール処方

シロスタゾール(プレタール)には心拍数増加の副作用があり、その副作用を利用して、徐脈性不整脈の治療にシロスタゾールが用いられることがある。 *心拍数増加を引き起こすメカニズム シロスタゾールが心拍数を増加させるメカニズムは明確になっていない…

偽痛風とは

偽痛風とは、尿酸以外の結晶により誘発される関節炎の総称。 主にピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)の結晶によって引き起こされる(CPPD結晶沈着症)。 高齢者に多く、男女差はほとんどない(やや女性に多め)とされている。 *症状 症状は、痛風に類似…

オーグメンチンとサワシリンの併用(オグサワ処方)

オーグメンチンとサワシリンの併用処方を、「オグサワ処方」と呼ぶ。 *オーグメンチン配合錠とは? オーグメンチン配合錠250RSには、1錠あたりアモキシシリン250mgとクラブラン酸カリウム125mgが含有されている。 クラブラン酸カリウムは、βラクタマーゼを…

抗凝固薬の切り替え方法まとめ

抗凝固薬の服用切り替え時には、切り替えるタイミングに注意が必要。 切り替え前の薬剤の半減期や切り替え後の薬剤の効果発現までの期間などを考慮して、スケジュールを決定しなければならない。 薬剤特性として、ワーファリンは半減期と効果発現までの時間…

アドエアとレルベアの違い

アドエアとレルベアは、どちらも吸入ステロイド・β刺激薬配合の気管支喘息治療薬。 以下、アドエア ディスカスとレルベア エリプタの違いまとめ。 *有効成分 アドエア・・・サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸エステル レルベア・・・ビランテロール…

気管支喘息の分類(アトピー型/非アトピー型)

気管支喘息は、大きく分けてアトピー型と非アトピー型の2つに分類される。 小児喘息の70%以上がアトピー型。 年齢が上がるにつれて非アトピー型を発症しやすく、成人喘息ではアトピー型、非アトピー型とそれらの混合型がそれぞれ約1/3ずつ。 *分類 アトピ…

肺炎の種類と特徴

肺炎は原因により、細菌性、ウイルス性、非定型、誤嚥性の4つに分類されている。 以下、特徴まとめ。 *原因 細菌性 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌 など ウイルス性 インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルス、RSウイルス、コロナ…

レクサプロの特徴

レクサプロ(エスシタロプラム)はSSRI。 SSRIの中でも使いが手が良く、最も多く処方されている。 *レクサプロの特徴 ・SSRIの中で最も有効性と忍容性が高い(MANGA Study)。 ・効果発現が早く、SSRIでは唯一、開始用量が治療用量。 ・アロステリック作用…

ロトリガとエパデール

ロトリガとエパデールの比較まとめ。 *有効成分 ロトリガ・・・エコサペントエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA) エパデール・・・EPA のみ EPA・DHAはどちらも体内では合成できないn-3系多価不飽和脂肪酸。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []…

点眼薬とコンタクトレンズ

一般的に、コンタクトレンズ使用者が点眼薬を使用する場合は、コンタクトレンズを外してから点眼し、点眼の5〜15分後に再装着する。 コンタクトレンズ着脱の手間がかかることでアドヒアランス(コンプライアンス)の悪化が懸念される場合などは、装着したま…

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏

亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏は、どちらも酸化亜鉛を含む外用薬。 違いと使い分けについて、以下まとめ。 *色 亜鉛華軟膏・・・・白色亜鉛華単軟膏・・・単黄色 *酸化亜鉛の濃度 亜鉛華軟膏・・・・20%亜鉛華単軟膏・・・10% *基剤 亜鉛華軟膏・・・・白色…