薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


2020-01-01から1年間の記事一覧

チーズと薬の相互作用

チーズに多く含まれるチラミンが、一部の薬の作用に影響を与えることが判っている。 以下の薬剤服用中はチラミンを多量に含有する食品の摂取は、可能な限り控えるよう指導が必要。 【チラミンとの相互作用を起こす薬剤】 ・セレギリン(エフピー)・ラサギリ…

フォシーガによる慢性心不全に対する効果

2020年10月、SGLT2阻害薬のフォシーガ(ダパグリフロジン)に慢性心不全の適応が追加された。 フォシーガが慢性心不全を改善する作用機序は明らかになっていないが、浸透利尿作用による心負荷の軽減など、血糖降下作用以外の作用が関与している可能性が示唆…

漢方薬による胃腸障害

漢方製剤により胃腸障害が起こることがある。 特に麻黄、地黄、当帰、川芎、石膏を含む漢方製剤は副作用として胃腸障害を引き起こしやすい。 そのため、一般的に漢方薬は空腹時服用が推奨されているが、これらの生薬が配合されている漢方製剤は、胃腸障害の…

冷蔵庫で保管してはいけない点眼薬

眼瞼炎、眼掻痒感などに処方されるトラニラスト点眼液(リザベン点眼液 / トラメラス点眼液)は、冷所保存を避けなければいけない。 冷所で保管しないといけない目薬以外も、まとめて冷蔵庫で保管する患者は多いので注意が必要。 // *冷所保存が不適な理由…

心因性味覚障害

心因性味覚障害とは、原因が味覚受容体の障害や、神経伝達障害、亜鉛欠乏、薬剤ではなく、心因的要因により引き起こされる味覚障害。 // *治療薬 味覚の認知にベンゾジアゼピン受容体の関与が示唆されており、治療にベンゾジアゼピン系が用いられる。 中で…

好酸球性食道炎に対する吸入ステロイド

好酸球性食道炎は、食物などのアレルゲンによって誘発されるアレルギー疾患。 好酸球が食道粘膜に浸潤することで、食道粘膜で慢性的な炎症を引き起こす。 症状が類似していることから、逆流性食道炎と間違われることが多い。 40〜50歳代の男性で多くみられ、…

鉄剤の違い

処方頻度が高い鉄剤、フェロミアとフェロ・グラデュメットの比較まとめ。 // *一般名 フェロミア・・・クエン酸酸第一鉄(有機鉄) フェロ・グラデュメット・・・硫酸鉄(無機鉄) *作用 作用はどちらも鉄として吸収され、ヘモグロビンの生合成に利用され…

カルシウムを多く含む生薬

以下の生薬はカルシウムを主成分とするため、一部のニューキノロン系抗菌薬などの多量のカルシウムが効果に影響する薬との併用は、2時間以上服用間隔を空けるなどの注意が必要。 // *カルシウムを主成分とする生薬 ・牡蠣・竜骨・石膏 *カルシウムと併用が…

潰瘍性大腸炎に対するコレスチラミンの有効性

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)に対する、コレスチラミンの有効性が示唆されている。 // *作用機序 胆汁酸が多量に存在する回腸では、炎症性サイトカインの産生や酸化ストレスが高まり、炎症反応を促進することが示唆されている。 その…

下肢静脈瘤に対する利尿剤の効果

利尿剤は体内の水分を尿として排出する作用があるため、足のむくみに対して処方されることがある。 しかし、下肢静脈瘤や静脈還流障害などによる浮腫に対する長期的な効果は期待できない。 // *利尿剤の長期的な効果が期待できない理由 利尿剤により血流量…

ポラキス錠とネオキシテープ

ポラキス錠とネオキシテープの有効成分はどちらもオキシブチニン塩酸塩。 膀胱平滑筋のムスカリン受容体を拮抗的に阻害することで、過活動膀胱の症状を改善する。 ポラキス錠で問題となる副作用の軽減を目的に、ネオキシテープが開発された。 // *副作用の…

腎機能低下と骨粗鬆症

以前は透析を受けている骨粗鬆症患者に対して、ビスホスホネート系製剤やSERM、RANLK阻害剤などの骨吸収抑制薬の使用は推奨されていなかったが、近年では、骨吸収抑制薬は骨量を増加させ、骨からのリンの遊離を抑制することから、投与が推奨されている。 // …

ドライアイと治療薬

ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)とは、様々な原因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じる。また、眼表面(角結膜)の障害を伴うことがある。 涙液層は、外側から①油層②液層③ムチン層の3層構造からなり、ムチン層の…

ベンゾジアゼピン系の精神的依存と身体的依存

ベンゾジアゼピン系の服用において、精神的依存と身体的依存が認められる。 一般的に半減期の短い薬剤で依存を形成しやすい。 長期間の服用がハイリスク要因と考えられているが、近年では2〜4週間で依存が形成されるとする報告もある。 精神的依存症状:薬が…

[新薬]テプミトコ錠

*一般名 テポチニブ塩酸塩水和物 *規格 250mg のみ *適応症 MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌 // *用法・用量 通常、成人にはテポチニブ塩酸塩水和物として1回500mgを1日1回食後に経口投与する。なお、患者…

アトピー性皮膚炎に有効な漢方薬

アトピー性皮膚炎に対して有効な漢方処方として、以下の2処方が挙げられる。 どちらも、重盲検無作為化比較試験において有効性が示唆されている。 【アトピー性皮膚炎に有効な漢方処方】 ・消風散 ・補中益気湯 それぞれ、以下のような症例に対して有効性が…

[新薬]カボメティクス錠

*一般名 カボザンチニブ リンゴ酸塩 *規格 20mg / 60mg *適応症 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌 // *用法・用量 通常、成人にはカボザンチニブとして1日1回60mgを空腹時に経口投与する。 なお、患者の状態により適宜減量する。 *特徴 ・VEGFR2、MET…

[新薬]キャブピリン配合錠

*一般名 アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩 *適応症 下記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)・狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)…

バイオAGとは(バイオシミラーとの違い)

バイオAG(オーソライズド・ジェネリック)とは、先行バイオ医薬品と同様の方法により製造される後発バイオ医薬品。 バイオシミラーと区別して、バイオセイムとも呼ばれる。 // *バイオシミラーとの違い バイオシミラーは、先行バイオ医薬品の“類似”のもの…

[新薬]ロケルマ懸濁用散

*一般名 ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物 *規格 分包5g / 分包10g *適応症 高カリウム血症 // *用法・用量 通常、成人には、開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間経口投与する。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて、最長3…

[新薬]メラトベル顆粒小児用

*一般名 メラトニン *規格 0.2% のみ *適応症 小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善 // *用法・用量 通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。 *特徴 ・小児期の…

[新薬]バクスミー点鼻粉末剤

*一般名 グルカゴン *規格 3mg のみ *適応症 低血糖時の救急処置 // *用法・用量 通常、グルカゴンとして1回3mgを鼻腔内に投与する。 *特徴 ・初のグルカゴン点鼻製剤で、1回1本使い切り。 ・肝臓のグルカゴン受容体に結合し、肝臓に蓄積されたグリコー…

[新薬]ラツーダ錠

*一般名 ルラシドン塩酸塩 *規格 20mg / 40mg / 60mg / 80mg *適応症 ・統合失調症・双極性障害におけるうつ症状の改善 // *用法用量 統合失調症通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減…

ヒルドイドの鎮痛効果

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は代表的な保湿剤だが、しばしば鎮痛作用を期待して処方されることがある。 中でもヒルドイドゲルは、保湿として使用されるのは稀で、疼痛や炎症に対しての処方がメインとなっている。 ヒルドイドゲルの適応症 血栓性静脈炎、…

NSAIDsによる自由水クリアランスの低下

NSAIDsの服用により電解質異常が引き起こされることがある。 その理由としては、腎機能の低下の他に自由水クリアランスの低下が示唆されている。 // *自由水クリアランスとは 体内における自由水とは、細胞外液中に存在する自由に移動できる水のことで、腎…

βブロッカーのISA

βブロッカーには、β受容体遮断作用と同時に、β受容体を刺激する作用を併せ持つものがあり、そのような作用をISA(内因性交感神経刺激作用:Intrinsic Sympathomimetic Activity)と呼ぶ。 ISAを持つβブロッカーは、交感神経が興奮している時にはβ受容体に抑…

ニューキノロン系によるアキレス腱断裂リスク

ニューキノロン系抗菌薬の服用により、アキレス腱の断裂や網膜剥離といった結合組織障害のリスクが高くなることが指摘されている。 ニューキノロン系抗菌薬を投与した患者では、アキレス腱障害を発症するリスクが約4倍、腱断裂を起こすリスクは約2倍に増加す…

ビソノテープの特徴

ビソノテープは、経皮吸収型の選択的β1ブロッカー。 以下、まとめ。 *一般名 ビソプロロール フマル酸塩 *適応症 ・本態性高血圧症(軽症〜中等度) ・頻脈性心房細動 // *用法・用量 本態性高血圧症(軽症〜中等症)通常、成人にはビソプロロールとして8…

ピロリ除菌後の逆流性食道炎

ピロリ菌の除菌療法の後に、逆流性食道炎を発症することがある。 *発症メカニズム ピロリ菌感染によって低下していた胃酸の分泌が、除菌成功後に通常レベルまで改善する場合に、一時的に発症すると考えられている。 // *どれぐらいの頻度か 「H.pylori 感…

メリスロンとセファドール

抗めまい薬として処方頻度の高い、メリスロンとセファドールの違いについて、以下まとめ。 // *有効成分 メリスロン・・・メシル酸ベタヒスチン セファドール・・・塩酸ジフェニドール *剤型 メリスロン・・・錠 のみ セファドール・・・錠 / 顆粒 *作用…