ニューキノロン系抗菌薬の服用により、アキレス腱の断裂や網膜剥離といった結合組織障害のリスクが高くなることが指摘されている。
ニューキノロン系抗菌薬を投与した患者では、アキレス腱障害を発症するリスクが約4倍、腱断裂を起こすリスクは約2倍に増加すると推測されている。
いずれも、服用開始から比較的早期に発症することが多いとされる。
*メカニズム
アキレス腱は約7割がコラーゲンからできており、その約9割はⅠ型コラーゲンで、約1割はⅢ型コラーゲンで構成されている。
ニューキノロン系抗菌薬は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの細胞外マトリックスを分解するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現を増強することが確認されており、ニューキノロン系抗菌薬の投与でMMPsによるコラーゲン線維の変性が促進され、腱断裂や網膜剥離に至ると考えられている。
*大動脈剥離のリスクも
大動脈壁を構成するコラーゲンもⅠ型とⅢ型が主体であるため、同じメカニズムで大動脈剥離や大動脈瘤破裂などの大動脈障害のリスクを高める。
※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。