ドライアイ(乾性角結膜炎、涙液減少症)とは、様々な原因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じる。また、眼表面(角結膜)の障害を伴うことがある。
涙液層は、外側から①油層②液層③ムチン層の3層構造からなり、ムチン層の下には角膜があり、これらの層が何らかの原因で崩壊している状態。
ドライアイの悪化要因には、女性であること、加齢、コンタクトレンズの使用、長時間のVDT(Visual Display Terminals)作業がある。
女性が悪化要因である理由は、男性ホルモンのアンドロゲンが、油層を構成する脂質の分泌を促進するためと考えられている。
*治療薬
現在ドライアイの治療に用いられているのは点眼薬のみ。
人工涙液点眼
副作用はほとんどないが、頻回の点眼が必要。
ヒアルロン酸Na点眼
保水効果があるため、眼表面に長く留まる。角結膜常備の修繕作用があり、ドライアイに伴う上皮障害にも有効。
副作用はほとんどないが、高濃度のものは粘稠性が高いため違和感が生じることがある。
ステロイド点眼
自覚症状と涙液の安定性、上皮障害を改善するが、眼圧上昇に注意が必要であるため、推奨度は低い。
ジクアホソルNa点眼
人工涙液、ヒアルロン酸Naに比べて自覚症状と上皮障害を有意に改善する。
副作用として眼刺激感などがあるが、症状は軽微であることが多い。
レバミピド点眼
人工涙液、ヒアルロン酸Naに比べて自覚症状と上皮障害を有意に改善する。
味覚異常(苦味)の頻度が高いが、使用後に目頭を抑えて鼻涙管から口への移行を阻止することで軽減できる。
軽度だが涙囊炎の報告もある。
※ NSAIDs点眼は自覚症状、涙液安定性、上皮障害の改善に対するエビデンスが少ないため推奨されていない。
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