甲状腺機能低下症では、倦怠感や精神不安定、食欲低下、意欲・集中力の低下、無気力・無関心などの症状がみられ、うつ病の症状と類似している。
甲状腺機能低下症による精神症状の慢性化が、うつ病の発症を来す場合もある。
近年の研究では、甲状腺機能低下症の50%以上でうつ病を合併しているとの報告があり、甲状腺ホルモンと他の精神疾患との関連も強く示唆されている。
*難治性うつ病にチラーヂンS
抗うつ剤の投与で効果が不十分な例に、チラーヂンS(レボチロキシン)を併用すると抗うつ効果が高まることが判っている。
レボチロキシンが抗うつ効果を強化する理由は明確ではないが、次のようなことが示唆されている。
・甲状腺ホルモンが脳内でセロトニン、ノルアドレナリン、GABAなどの神経伝達物質の濃度を正常化する可能性。
・甲状腺ホルモンが脳内のアドレナリンβ受容体の機能を増強する可能性。
・甲状腺ホルモンが抗うつ剤の体内代謝に影響を与える可能性。
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