JAKとJAK阻害薬について、以下まとめ。
*JAKとは?
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、細部内に存在する非受容体型チロシンキナーゼの1つで、インターロイキン(IL)やインターフェロン(ITF)、TNF-αなどの炎症性サイトカインの受容体伝達に関与していると考えられている。
JAK1、JAK2、JAK3、TY2のサブタイプに分類され、それぞれ関与するサイトカインが異なる。
*JAK阻害薬
JAK阻害薬は、JAKを阻害することでサイトカインによる細胞内での刺激伝達を阻害し、炎症反応を抑制する。
生物学的製剤(抗体・受容体製剤)は1種類の特定のサイトカインのみ阻害するのに対し、JAK阻害薬は複数のサイトカインの活性を阻害する。JAK阻害薬の関節リウマチにおける抗炎症作用は、生物学的製剤と同等かそれ以上とされている。
また、生物学的製剤は経口投与出来ないのに対し、JAK阻害薬は経口投与が可能であるため投与が簡単。
現在、以下のJAK阻害薬が使用されている。
ゼルヤンツ錠(トファシチニブ)
適応症:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎
オルミエント錠(バリシチニブ)
適応症:関節リウマチ
スマイラフ錠(ペフィシチニブ)
適応症:関節リウマチ
リンヴォック錠(ウパダシチニブ)
適応症:関節リウマチ
ジャカビ錠(ルキソリチニブ)
適応症:骨髄線維症、真性多血症
※アトピー性皮膚炎治療薬のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)が発売予定
*JAK阻害薬の注意点
・免疫抑制作用を有するため、感染症リスクが高まる。特に帯状疱疹が起こりやすい。
・その他の主な副作用は、肝機能障害、腎機能障害、間質性肺炎、血球減少など(薬剤により異なる)。
・投与開始前に結核およびB型肝炎ウイルスの感染の有無や既往を確認する必要がある。
・関節リウマチに対して投与する場合は、既存の抗リウマチ薬(メトトレキサート)による効果が不十分な場合にのみ使用できる(ガイドラインでは、メトトレキサート8mg/weekを3ヶ月以上継続しても効果不十分な場合に推奨)。
・動物において催奇形性が確認されているため、妊婦には禁忌。
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