胃の全摘出患者に、ビタミンB12製剤であるメコバラミンの内服が処方されることがある。
これは、胃摘出後に起こる巨赤芽球性貧血を予防するため。
*巨赤芽球貧血とは
巨赤芽球貧血とは、血液中に成熟していない大きな赤血球(巨赤芽球)が増殖する貧血。
中でも胃液の分泌不良や胃粘膜の萎縮に起因するものを「悪性貧血」と呼ぶ。
巨赤芽球が増殖する原因は、DNA合成やタンパク合成などを促進するビタミンB12及び葉酸が不足すること。
症状としては、一般的な貧血の症状である動悸や倦怠感、息切れ、ふらつきなどに加え、ビタミンB12及び葉酸不足が来す抹消神経障害もみられる。
*胃摘出後の巨赤芽球貧血
ビタミンB12が吸収されるためには、胃粘膜から分泌される内因子と結合する必要がある。
そのため、胃摘出間患者では胃粘膜からの内因子の分泌がなくなってしまうため、ビタミンB12の吸収が阻害され、巨赤芽球貧血(悪性貧血)を発症する。
胃全摘出患者での発症率は100%で、部分摘出の患者では1〜2%で発症する。
*ビタミンB12の内服でもいいのか?
以前は、胃全摘出患者では、腸でのビタミンB12吸収が阻害されることが原因であるため、内服では予防できないと考えられていたことから、筋注での投与が原則だった。
しかし、ビタミンB12の吸収には内因子は必須ではなく、単体でも受動的にある程度吸収されることから、経口投与での治療効果を確認する試験が行われ、経口投与においても筋注と同等かそれ以上の効果があることが示唆されている。
経口投与における投与量としては、1000〜2000μg / day が推奨されている。
※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。