家族性高コレステロール血症(FH)とは、LDL受容体やその関連タンパクである、アポリポタンパクB-100(アポB-100)、PCSK9の遺伝子変異により生じる高LDLコレステロール血症。
遺伝子異変が、直接生命に重篤な状態をもたらすことはないが、高LDLコレステロール状態が維持されることにより、若年から冠動脈障害などの動脈硬化のリスクが高くなる。
*分類
両親から由来する両方の遺伝子に変異がある場合を「ホモ接合体」と、どちらか一方から由来する遺伝子にのみ異変がある場合を「ヘテロ接合体」と呼ぶ。
ホモ接合体の方がヘテロ接合体よりも症状が重く、ホモ接合体のみが難病指定されている。
小児のFHにおいては、ホモ接合体、ヘテロ接合体に関わらず小児慢性特定疾病に指定されている。
*特徴
・ほとんどの場合において、幼少期に高LDL血症が確認されFHであることが発覚する。
・角膜輪、腱黄色腫が10代〜20代に約半数の患者で現れる。
・2割程度の患者では、角膜輪や黄色腫などの身体所見は生涯みられない。
・黄色腫は、肘関節や膝関節の外側、手首、臀部など、圧力がかかりやすい部位に多く発生する。
・腱黄色種では、アキレス腱の肥厚が顕著であり、診断根拠として重要となる。
*治療
FHの治療目標は、LDLコレステロール値を下げ、動脈硬化の発症および進展を予防すること。
薬物治療としてはスタチン系、フィブラート系、エゼチミブ、コレスチラミン、コレスチミド、プロブコール、PCSK9阻害薬など。
また、薬物治療で十分な効果が得られない場合は、体外循環により血漿LDLを除去する「LDLアフェレシス療法」が行われることもある。
これらの治療とともに、高血圧や糖尿病、喫煙、肥満などの動脈硬化のリスク要因を排除することも重要となる。
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