カルチノイドとは「癌のような」とういう意味。確認された当初は、癌と似て非なるものと認識されていたが、現在では、他臓器への転移や、隣接する臓器への浸潤などの癌特有の性質を持つことが分かっている。
神経内分泌細胞からできる腫瘍の一種で、胃以外にも直腸、十二指腸、小腸、虫垂、大腸、膵臓などで発生する(中でも直腸での発症が最も多い)。
他の悪性腫瘍に比べ頻度は低く、進行が遅く、比較的予後が良好な傾向がある。
*原因
胃カルチノイドの多くは、持続的な高ガストリン血症によるECL(enterochromafin-like)細胞の過剰増殖が大きく関与していると考えられる。
高ガストリン血症の要因としては、PPIやH2ブロッカー投与による胃内pH上昇によるフィードバック機構によるガストリン分泌行進や、ガストリン産生腫瘍(ガストリノーマ)が挙げられる。
*症状(カルチノイド症候群)
カルチノイド腫瘍は基本的には良性の腫瘍だが、カルチノイド腫瘍が放出するセロトニンやヒスタミンなどの生理活性物質による全身症状を呈することがあり、これら症状をカルチノイド症候群と呼ぶ。
通常、カルチノイド腫瘍により放出されてた生理活性物質は門脈から肝臓に入り肝臓で不活化されるため全身症状は呈さないが、腫瘍が肝臓に広がったり何らかの要因で肝機能が低下すると、生理活性物質が不活化されなくなり全身へと運ばれることで以下のような症状が現れる。
カルチノイド症候群:顔面紅潮、腹部けいれん、下痢、脂肪便、浮腫、喘鳴、嘔気など
*治療
通常、10mm以下であれば内視鏡術により切除する。
化学療法や放射線療法は効果が期待できないが、リンパ節や多臓器へ転移がみられる場合は、化学療法が行われることがある。
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