薬局薬剤師の勉強日誌

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アナストロゾールによる骨粗鬆症

 

閉経後乳癌治療薬として投与されるアナストロゾール(アリミデックス)の副作用の1つとして、骨粗鬆症が挙げられる。

機序としては、アナストロゾールはアロマターゼを阻害し、アンドロゲンからのエストロゲン生成を抑制することで乳がん細胞の増殖を抑制するが、乳腺組織以外の血液中や骨組織においてもエストロゲン濃度を低下させるため、その結果、骨量が減少し、骨粗鬆症を発症する可能性がある。

 

 

 

*対処法

定期的(6ヶ月~1年毎)に骨密度を測定し、骨密度低下がみられる場合ではカルシウム剤、活性化型ビタミンD3製剤、ビスホスホネート系薬などを投与する。

 


*SERMの併用は非推奨

ラロキシフェン(エビスタ)やバゼドキシフェン(ビビアント)などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、エストロゲン受容体に結合し、骨組織ではエストロゲン受容体の活性作用を、乳腺や子宮に対しては阻害作用を持つ。

ラロキシフェンまたはバゼドキシフェンの単独において、閉経後乳がんの予防効果が示唆されており、アナストロゾールによる骨粗鬆症に対してSERMの併用は理にかなっているように思えるが、推奨されていない。

 

その根拠として、閉経後乳癌患者9366人を対象に行われた大規模臨床試験「ATAC」において、アナストロゾールとタモキシフェンを併用した群では、アナストロゾール単独群より乳がん再発抑制効果が低くなると示されたことが挙げられる。

また、「乳癌診療ガイドライン2022年版」においても、”ATAC試験において、同様のSERMであるタモキシフェンとアナストロゾールの併用で有害事象の増加と乳癌再発抑制効果阻害の可能性が示されており、アロマターゼ阻害薬使用時のラロキシフェン併用は避けるのが妥当である。”とされている。

 

 

※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。