メトホルミンによる乳酸アシドーシスの発症頻度は、年間で10万人に数人。
*乳酸アシドーシス発症機序
メトホルミンは、乳酸やアミノ酸からの糖新生を抑制して血糖値低下作用をもたらすため、乳酸の蓄積を促進する。
通常は乳酸が蓄積すると、乳酸の代謝が亢進しバランスが保たれるが、調節機能が破綻してしまうと乳酸アシドーシスを発症する。
乳酸アシドーシスを起こしやすい患者への投与を回避することが重要。
*乳酸アシドーシス高リスク患者
〔添付文書禁忌より一部抜粋〕
・乳酸アシドーシスの既往のある患者
・重度の腎機能障害(eGFR 30 mL/min/1.73 m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
・重度の肝機能障害のある患者
・心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者
・脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
・過度のアルコール摂取者
*乳酸アシドーシスの症状
初期・・・胃腸症状(悪心・嘔吐、腹痛、下痢など)、筋肉痛、けいれん、倦怠感、脱力感、腰痛、胸痛
進行した症状・・・アセトン臭を伴わない過呼吸(アセトン臭がある場合はケトアシドーシス)、脱水、低血糖、低体温、傾眠、ショック状態、全身けいれん、クスマウル呼吸
そのまま放置すると昏睡状態を経て、死亡に至ることがあるので早急な対応が必要(死亡率約50%%)。
※このブログの内容は、個人的に勉強した内容をまとめたものです。添付文書や治療ガイドライン等に基づいてまとめていますが、内容の正確性は保証できません。知識の向上のため、また、内容をより良いものにしていきたいと考えているため、不適切な記載等ございましたら、コメントにてご指摘お願い致します。