薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


シックデイの対応

シックデイとは、糖尿病患者の体調不良の日のことで、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などにより十分な食事が摂れないため、血糖コントロールが難しい状況となる。 食事が摂れない状況でも、体調不良時にはインスリンの働きが悪化したり、血糖値を上昇させるホル…

HbA1C値に影響を与える要因

以下の要因は、HbA1C値に影響を与えることが報告されている。 *HbA1C値に影響を与える要因 鉄欠乏性貧血、腎性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血 赤血球の産生減少および寿命延長により、偽高値となる。 大量出血、鉄欠乏性貧血の回復期 赤血球の産生増加および…

糖尿病と認知症

糖尿病患者では、認知症発症率が高いことが明らかになっている。 また、重篤な低血糖が起きると、認知症を引き起こすリスクが高くなると考えられている。 疫学調査において、日本人の糖尿病患者は健常人と比べ、アルツハイマー型認知症は約2.18倍、脳血管性…

α-GIそれぞれの特徴まとめ

α-グルコシダーゼ阻害剤(α-GI)は、小腸において二糖類からグルコースへと分解する酵素α-グルコシダーゼを阻害することで糖の吸収を遅らせ、食後血糖値のピークを抑える効果がある。 現在、発売されているα-GIは次の3つ。 【α-GI製剤】 ・アカルボース(グ…

妊娠糖尿病(GDM)

妊娠糖尿病(GDM)の頻度は、約10%(診断基準の変更によりその都度増減する)。 妊娠中の血糖値の上昇は、胎児にブドウ糖を供給するために起こる生理的な変化である。 それと同時に、上昇した血糖値を正常に戻そうと母体ではインスリンの分泌の促進されるが…

抗精神病薬による血糖値の上昇作用

以下の非定型抗精神病薬には血糖値上昇作用があり、糖尿病患者に対して禁忌や慎重投与となっている。 【禁忌】 ・オランザピン(ジプレキサ)・クエチアピン(セロクエル) 【原則禁忌】 ・クロザピン(クロザリル) 【慎重投与】 ・リスパダール(リスペリ…

ランタスとランタスXRの違い

ランタス注もランタスXR注も、持続型インスリン製剤。 ランタスXR注はランタス注の改良版で、有効成分インスリングラルギンの濃度が3倍に調整されている。 ランタス注:100単位/ml ランタスXR注:300単位/mL 濃度を高くすることで、注入する液量が少なくな…

[新薬]フィアスプ注フレックスタッチ

*一般名 インスリン アスパルト(遺伝子組換え) *特徴 ・有効成分は超速効型インスリン製剤である「ノボラピッド注」と同じ。 ・ニコチン酸アミド(ビタミンB3)を添加していることで、ノボラピッド注よりも有効成分の血中への吸収速度がさらに速くなって…

メトホルミンによる乳酸アシドーシス②

メトホルミンにより、乳酸アシドーシスのリスクが高い患者(禁忌患者)とその理由について以下まとめ。 *重度の腎機能障害(eGFR 30 mL/min/1.73 m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む) ⇒ メトホルミンの大部分が腎排泄のため。 *重度の肝機能…

メトホルミンによる乳酸アシドーシス

メトホルミンによる乳酸アシドーシスの発症頻度は、年間で10万人に数人。 *乳酸アシドーシス発症機序 メトホルミンは、乳酸やアミノ酸からの糖新生を抑制して血糖値低下作用をもたらすため、乳酸の蓄積を促進する。 通常は乳酸が蓄積すると、乳酸の代謝が亢…

フレックスペンとフレックスタッチの違い

フレックスタッチはフレックスペンの改良版。 *改良点 ・ダイアルを回しても注入ボタンが伸びずに押しやすい。 ・注入ボタンが軽く、小さい力で注入できる。 ・ダイアルを回す時のクリック感やクリック音が強くなり、視覚の弱い方でも使いやすい。 ・注入完…

[新薬]ゾルトファイ配合注フレックスタッチ

*一般名 インスリン デグルデク<遺伝子組換え>/リラグルチド<遺伝子組換え> *特徴 ・国内初の持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ 配合注射液。 ・フレックスタッチ採用なので、インスリン治療でフレックスタッチを使用していた方では切り替…

インスリン製剤の種類(プレフィルド製剤)

超速効型・・・ノボラピッド、ヒューマログ、アピドラ 速効型・・・・ノボリンR、ヒューマリンR 中間型・・・・ノボリンN、ヒューマリンN 持続型・・・・トレシーバ、レベミル、インスリングラルギンBS、ランタス、ランタスXR 混合型・・・・ノボラピッド30/…

HbA1cはどこまで下げるべきか

HbA1c目標値を6.0未満にした厳格管理群と7.0〜7.9を目標にした標準管理群で、心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)の発症の差はなく、一方で厳格管理群の死亡率が上昇した比較試験がある。 そこで、日本糖尿病学会は、2013年に成人の血糖コントロー…