薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


2020-01-01から1年間の記事一覧

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬

JAKとJAK阻害薬について、以下まとめ。 *JAKとは? ヤヌスキナーゼ(JAK)は、細部内に存在する非受容体型チロシンキナーゼの1つで、インターロイキン(IL)やインターフェロン(ITF)、TNF-αなどの炎症性サイトカインの受容体伝達に関与していると考えられ…

サムスカの特徴と注意点

サムスカ(トルバプタン)は、主に心不全に使用される利尿剤。 他の利尿剤とは異なり、水分のみを排出するため水利尿剤と呼ばれている。 // *特徴 ・バソプレシンV2受容体を遮断することで、腎集合管での水の再吸収を阻害し利尿作用を発揮する。 ・NaやKの…

麦粒腫とは

麦粒腫とは、感染性の眼科疾患。 瞼における細菌感染症で、急性の化膿性炎症による痛みや痒みが主な症状。 眼の充血や瞬きをした際の異物感を伴う場合もある。失明などの重篤な症状を引き起こすことはない。 また、他人に伝播することは考えにくい。 瞼の外…

トリプタン系薬の用法の違い

トリプタン系薬は、片頭痛の発作時に使用される。 現在、以下の5種類が使用されているが、使用方法に違いがあるため注意。 // 【トリプタン系薬の種類】 ・イミグラン(スマトリプタン)・ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)・レルパックス(エレトリプタン)・…

小柴胡湯による間質性肺炎

間質性肺炎は、肺を構成する肺胞壁や周囲に炎症が起こる病態であり、進行すると肺線維症へ移行する。薬剤性肺障害の中で最も頻度が高い。 主な症状は息切れ、空咳、発熱など。 胸部画像所見では約6割の症例において、すりガラス状の陰影が確認できる。 // *…

パルモディアの特徴

パルモディアは、SAPPARMα(Selective Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Modulator α)に分類される脂質異常症治療薬。 同系統の薬に、フィブラート系薬剤のトライコアやリピディル、ベザトールがある。 *一般名 ペマフィブラート *適応症 高脂…

薬剤性難聴

薬剤性難聴とは、薬剤が原因として引き起こされる難聴。 多くは内耳の感覚細胞(有毛細胞)の障害が原因とされている。 // *原因薬剤 ・アミノグリコシド系抗菌薬・白金製剤・サリチル酸製剤・ループ系利尿剤 など *特徴 難聴は高音域から始まるため、電子…

間欠性跛行とは

間欠性跛行とは、安静時には症状はないが、少し歩くと足に痛みが出たり痺れたりして歩くことができなくなり、少し休むと症状が改善し、また歩くことができるようになるのを繰り返すこと。 杖やシルバーカーなど体を支えるものを使って歩けば症状が軽減するこ…

CCrとeGFR

腎機能は糸球体濾過量(GFR)により評価されるが、正確なGFRを測定するのは非常に困難。 現在では、血清クレアチニン濃度を利用した腎機能評価が主流。 // *腎クリアランスとは? 腎クリアランス(mL/min)とは、ある尿中排泄物が、1分間に何mLの血液から除…

標準偏差とは

標準偏差(Standard Deviation:SD)とは、標本(値、データ)のばらつきの指標。 「それぞれの値とそれらの平均値の差の2乗の合計を、値の総数(n)で割った値の平方根」で算出できる。 ⇒ "それぞれの値が平均値から離れている値"の平均値 標準偏差が大きい…

経口鉄剤とビタミンCの併用

経口鉄剤は、しばしばビタミンC製剤と併用される。 // *経口鉄剤の種類 ・クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア) ・乾燥硫酸鉄(フェログラデュメット) ・フマル酸第一鉄(フェルム) ・溶性ピロリン酸第二鉄(インクレミン) *ビタミンCとの併用する意…

ミケルナ配合点眼液の注意点

ミケルナ配合点眼液は、カルテオロール塩酸塩・ラタノプロストを有効成分とする緑内障治療薬。 ミケルナ配合点眼液には、眼表面でのカルテオロール塩酸塩の滞留性向上及び持続性を発揮させるためにアルギン酸(天然昆布由来)が添加されている。 アルギン酸…

フレイルとは

フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、加齢により心身が老い衰えた状態。 加齢に伴い、意図しない衰弱、筋力の低下、活動性の低下、認知機能の低下、精神活動の低下などの脆弱な状態(=フレイル)を経て要介護状態へと移行することが多いこ…

LESを弛緩させる薬剤

胃食道逆流症(GERD)の原因の一つとして、下部食道括約筋(Low Esohageal Sphincter : LES)の弛緩がある。 LESは、収縮することで胃内容物が食道に逆流しないように働いているため、LESが弛緩するとGERDのリスクが高まる。 薬剤がLESを弛緩させてしまうこ…

ヒドロクロロチアジドの皮膚癌リスク

ヒドロクロロチアジド含有薬剤の添付文書には、発癌リスクの増加について以下のように記載されている。 海外で実施された疫学研究において、ヒドロクロロチアジドを投与された患者で、基底細胞癌及び有棘細胞癌のリスクが増加することが報告されている。 *…

簡易懸濁法とは

簡易懸濁法とは、錠剤粉砕や脱カプセルをせずに、錠剤・カプセルをそのまま55℃のお湯に崩壊、懸濁させて、経管投与する方法。 55℃である理由は、日本薬局方によりカプセルは37±2℃の水で10分以内に溶けることと規定されており、10分間室温で放置しても37℃以下…

認知症の病型と特徴

認知症とは、獲得した複数の認知・精神機能が、意識障害によらず日常生活や社会生活に支障をきたす程に持続的に障害された状態をいう。 原因により、主にアルツハイマー型、血管性、レビー小体型の3つの型に分類される。 複数の病型を併発する場合もある。 …

プロトピック軟膏の発癌リスク

プロトピック軟膏(タクロリムス水和物軟膏)の添付文書では、発癌リスクについて以下のように警告されている。 マウス塗布がん原性試験において、高い血中濃度の持続に基づくリンパ腫の増加が認められている。また、本剤使用例において関連性は明らかではな…

シックデイの対応

シックデイとは、糖尿病患者の体調不良の日のことで、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などにより十分な食事が摂れないため、血糖コントロールが難しい状況となる。 食事が摂れない状況でも、体調不良時にはインスリンの働きが悪化したり、血糖値を上昇させるホル…

高山病とダイアモックス

高山病は、登山時における低酸素環境によって引き起こされる酸素欠乏症。 酸素濃度が徐々に低下していく環境においては、延髄の呼吸中枢の活性化などにより、肺における酸素の取り込みが促進されるため、酸素欠乏状態になることは少ないが、登山時など急激に…

骨密度の検査方法

骨粗鬆症の診断には、骨密度のYAM(Young Adult Mean)値との比較が用いられる。 YAM値とは、若年成人(20〜44歳)の平均値のこと。若年成人平均値を100%として、現在の骨密度が何%かを算出する。 骨密度(BMD)=単位面積あたりの骨量(g/㎠) 【YAM値と…

こむら返りの原因と予防法

こむら返りは、ふらはぎの筋肉が収縮したままの状態で、激しい痛みを伴う。 「こむら」とはふくらはぎのこと。関西では「こぶら返り」とも呼ばれる。医学的には、「筋クランプ」や「有痛性筋痙攣」と称される。 治療薬としては筋肉の痙攣を抑制する、芍薬甘…

HbA1C値に影響を与える要因

以下の要因は、HbA1C値に影響を与えることが報告されている。 *HbA1C値に影響を与える要因 鉄欠乏性貧血、腎性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血 赤血球の産生減少および寿命延長により、偽高値となる。 大量出血、鉄欠乏性貧血の回復期 赤血球の産生増加および…

突発性発疹とは

突発性発疹は、小児バラ疹とも呼ばれる、生後6ヶ月〜1歳半までの時期にかかりやすいウイルス感染症。初めて乳幼児が発症する感染症の代表格とされる。 3歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれている。 *原因 ヒトヘルペス6型、ヒトヘルペス7型による…

フラベリックによる聴覚異常

フラベリック(ベンプロペリン リン酸塩)は、中枢性非麻薬性の鎮咳薬。 特徴的な副作用に聴覚異常がある。 *聴覚異常について フラベリックで報告されている聴覚異常は、“全ての音が半音低く聞こえる”というもの。 聴覚異常が起こる機序は明確になっていな…

ネイリンの特徴

ネイリンは、2018年に約20年ぶりに発売された経口爪白癬治療薬。 以下、まとめ。 *一般名 ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物 *規格 カプセル 100mg のみ *適応症 皮膚糸状菌(トリコフィトン属)による爪白癬 *用法 通常、成人には1日1回1カ…

鎮咳薬の種類と特徴

鎮咳薬は大きく、中枢性と末梢性に分類され、中枢性鎮咳薬はさらに麻薬性と非麻薬性に分類される。 末梢性は気管や気管支に、中枢性は延髄の咳中枢に働き鎮咳作用を発揮する。 【中枢性麻薬性鎮咳薬】 ・コデイン リン酸塩・ジヒドロコデイン リン酸塩 【中…

漢方薬と食物アレルギー

漢方薬を構成する生薬は天然の素材であるため、一部の食物アレルギーを持つ患者では、アレルギー症状を引き起こす可能性がある。 実際にアレルギー症状を発症するのはごく稀。また、カキと牡蠣(ボレイ)のように食用部位と薬用部位が異なる場合は問題となら…

睡眠時無呼吸症候群の治療薬

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、睡眠中に上気道が閉塞し、無呼吸や低呼吸が生じる病態。 OSASの治療としては、CPAP治療、マウスピース治療、外科的手術が主であるが、補助的に薬物療法が行われることがある。 現在、保険適応になっているものは、ダイアモッ…

サインバルタの鎮痛効果

抗うつ剤であるサインバルタ(デュロキセチン塩酸塩)は、鎮痛効果も認められている。 現在、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症、変形性関節症による疼痛に適応をもつ。 *鎮痛作用の機序 痛みを抑制する神経に「下行性疼痛抑制系神経」がある。 こ…