薬局薬剤師の勉強日誌

日々の勉強を個人的にまとめたブログです


2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ピロリ菌検査に影響を与える薬剤

ピロリ菌感染の診断に用いられる尿素呼気試験、迅速ウレアーゼ試験などのウレアーゼ活性を利用した検査の結果は、薬剤に影響を受けることがある。 以下の薬剤を服用中の患者は、少なくとも2週間前に服用を中止し、試験を実施する必要がある。 なお、抗体測定…

喘息発作へのコデインの投与

コデインリン酸塩/ジヒドロコデインリン酸塩(以下まとめて、コデイン)は、鎮咳薬として処方されるが、気管支喘息発作中の患者には禁忌になっている。 そのため、コデインを含む薬品が処方されている場合には、咳が気管支喘息によるものではないことを確認…

ヒルドイドフォームとヘパリン類似物質外用泡状スプレーの違い

ヒルドイドフォームとヘパリン類似物質外用泡状スプレー(以下、GE泡状スプレー)は、どちらもヘパリン類似物質を有効成分とする泡状の保湿外用薬だが、特性や使用感、使用上の注意などに違いがある。 以下、まとめ。 *一般名 ヒルドイドフォーム・・・ヘパ…

抗尿酸血症・痛風における日常生活の注意点

*食生活 ・摂取カロリーを抑える。 1日の適正摂取カロリーの目安:標準体重 × 25〜30kcal ・プリン体の摂り過ぎに注意する(400mg / 日 未満に抑える)。 プリン体の多い食品:レバー(鶏・豚・牛)、干物、あん肝、牛ヒレ肉、カツオ、イワシ など ・アル…

メルカゾールとチラーヂンの併用

メルカゾール(チアマゾール)単独では頻回に再発を繰り返す不安定な甲状腺機能亢進症において、甲状腺ホルモンを安定させるために、メルカゾールとチラーヂン(レボチロキシン)を併用することがある(Block&Replacement Therapy)。 通常、メルカゾールの…

金属イオンとの併用で効果が変化する薬剤

レボフロキサシン / オフロキサシン Al、Mg、Fe で吸収低下 その他のニューキノロン系Al、Mg、Fe、Ca で吸収低下 テトラサイクリン系Al、Mg、Fe、Ca で吸収低下 セフジニルAl、Mg、Fe で吸収低下 レボドパFe で吸収低下 レボチロキシンAl、Fe、Ca で吸収低下…

キノロンのデュアルインヒビター

キノロン系抗菌薬の作用点は、DNAジェイレースとトポイソメラーゼⅣの2つあり、通常のキノロン系抗菌薬はこの2つの酵素の内、どちらか1つの酵素を強く阻害する。 中には2つの酵素を強力に同程度阻害するものがあり、このようなキノロンをデュアルインヒビター…

レスピラトリーキノロンとは

レスピラトリーキノロンとは、呼吸器感染症の主要起炎菌に対する有効性が十分であり、肺組織への移行性が高いキノロン系抗菌薬のこと。 レスピラトリー(Respiratory)とは、呼吸器という意味。 *経口レスピラトリーキノロン ・ラスビック(ラスクフロキサ…

ADLとIADLとは

*ADL Activities of Daily Livingの略。日本語で、日常生活動作。 日常的に行なっている行為、行動のこと。 食事、排泄、整容、移動、入浴などの基本的動作。 ADLが自立している場合は、通常介護を必要としない。 *IADL Instrumental Activities of Daily …

タミフル服用後の異常行動について

2007年、タミフル服用後に中学生がマンションから転落死したことなどがテレビや新聞で報道され、タミフルの服用による異常行動が社会問題化した。 これを受けて厚生労働省は同年、10代の患者への使用を原則禁止する措置をとった。 しかし、その後の調査にお…

インスリンとブドウ糖の併用

お薬手帳を確認していると、入院中にインスリン静注とブドウ糖静注が投与されてた記録を目にすることがある。 この処方はGI療法と呼ばれ、高カリウム血症に対して行われる。 インスリンがブドウ糖を細胞内に取り込む時に、カリウムも一緒に細胞内に取り込む…

PPI服用による酸化マグネシウムの効果への影響

酸化マグネシウムは、薬効を発揮する過程で胃酸との化学反応が必要になるため、PPIなどの胃酸分泌抑制薬との併用で効果が減弱する可能性がある。 * 酸化マグネシウムの作用機序 経口摂取された酸化マグネシウム(MgO)は、胃酸(HCl)と反応して塩化マグネ…

新鮮な心筋梗塞とは

レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)、リオチロニンナトリウム(チロナミン)の禁忌項目には、「新鮮な心筋梗塞のある患者」とある。 新鮮な心筋梗塞とは、急性心筋梗塞とも呼ばれ、発症から1〜2ヶ月間の状態をいう。 それ以降のものを陳旧性心筋梗塞と…

軟膏・クリームの使用量(1FTUについて)

軟膏やクリームは、使用量が少なすぎると十分な効果が得られず治療期間の延長を来たすことがあり、逆に多すぎると副作用のリスクが高まるため、適切な使用量の指導が重要。 使用量の目安として、1FTU(Finger Tip Unit)という単位が使用されることが多い。 …

NASHに対するピオグリタゾンの有効性

近年の脂肪肝の約10%が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、NASHの発症にインスリン抵抗性による高インスリン血症が関与していることが明らかになってきている。 また、NASH患者にピオグリタゾンを投与すると肝機能が正常化し、脂肪肝も改善すること…

認知症と物忘れの違い

患者さんから「もしかしたら認知症かも知れない」と相談されることがまれにある。 一般的に、認知症の場合は忘れていた事実も忘れているため、最近物忘れが多いから自分は認知症かもしれないと、認識している場合は認知症ではないことがほとんど。 単なる物…

耐性乳酸菌製剤の適応

抗菌薬耐性乳酸菌製剤は、抗菌薬により腸内細菌バランスが破壊されることによる、諸症状を予防するために、抗菌薬と併用されることが多々ある。 しかし、全ての抗菌薬に耐性を獲得しているのではなく、それぞれの製剤で適応が異なる。 ビオフェルミンR・エン…

バルプロ酸Naとピボキシル基含有薬剤

バルプロ酸Na(デパケン/セロニカ)は、血中カルニチン濃度を低下させ、低カルニチン血症を引き起こすことがある。 また、ピボキシル基を有する薬剤も長期服用により低カルニチン血症を引き起こすため、この2つを有効成分とする薬剤の併用は注意が必要。 …

アスピリンジレンマは存在するか

アスピリンは低用量で抗血小板作用、高用量では解熱鎮痛作用を発揮する。 抗血小板作用を期待して低用量でアスピリンを服用してる患者に、鎮痛薬として高用量のアスピリンを追加服用すると、抗血小板作用が消失する可能性があると考えられている。 これをア…

カルボシステインの時間帯依存性薬疹

カルボシステイン(ムコダイン)服用後の固定薬疹は、夜間から早朝にかけて出ることが多い。 これは、カルボシステインの代謝では、時間帯によって代謝産物が異なることが関係している。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); *時間帯による…

ビビアントの特徴(エビスタとの比較)

ビビアント(バゼドキシフェン酢酸塩)は、閉経後骨粗鬆症治療薬。 同系統の薬にエビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)がある。 *薬理作用 エビスタと同様、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)。 破骨細胞に直接作用し、骨吸収を抑制するエストロ…

リバスチグミン特有の作用

リバスチグミン(イクセロン/リバスタッチ)は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害し、脳内のアセチルコリン濃度を高めることで、アルツハイマー型認知症の認知機能症状の進行を抑制する。 同様の作用を持つ薬剤にドネペジル(アリセプト)、ガラン…

アーガメイト・カリメート・ケイキサレートの違いと使い分け

アーガメイト、カリメート、ケイキサレートは陽イオン交換樹脂製剤。 消化管内でカルシウムイオンまたはナトリウムイオンを放出し、代わりにカリウムイオンを吸着する。 血中カリウム濃度上昇を抑制することを目的に、主に慢性腎不全患者に投与される。 以下…

保湿剤を使用するタイミング

入浴すると肌から水分が吸収され、角質中の水分量が増加するが、入浴後10分経過すれば入浴前の水分量と同程度まで戻ることから、保湿剤は入浴後10分以内に使用すると効果的であるとの意見がある。 しかし、入浴直後に保湿剤を使用した場合と、一定時間後に塗…

ホクナリンテープ後発品の注意点

ホクナリンテープと後発品のツロブテロールテープでは薬剤含有層の構造が異なるため、薬剤の浸透に差が生じる可能性がある。 *薬剤含有層の構造 ホクナリンテープ・・・マトリックス型後発品・・・リザーバー型 *構造の違いによる影響 正常の肌では浸透性…

アモバンによる苦味

ゾピクロン(アモバン)を服用すると苦味を感じることがある。 詳しい原因は判明していないが、味覚の異常ではなく、唾液そのものが苦くなると考えられている。 苦味は翌朝や日中以降も継続することがあり、食事した時の味がおかしくなることがあるため、料…

[新薬]エベレンゾ錠

*一般名 ロキサデュスタット *規格 20mg / 50mg / 100mg *特徴 ・世界初のHIF-PH(HIF-プロリン水酸化酵素)阻害剤。 ・エリスロポエチン産生誘導作用などにより、腎性貧血を改善する。 ・経口剤であるため、ネプス(エリスロポエチン製剤)などの注射剤…

ユニバーサルクリームとは

ネリゾナにはクリームの他に、ユニバーサルクリームという剤型がある。 クリームの基剤は「O/W型」 ユニバーサルクリームの基剤は「W/O型」 *特徴 ユニバーサルクリームは、軟膏とO/W型クリームの中間的な性質。 軟膏よりかはベタつかず、クリームよりは刺…

ワーファリンの利点

ワーファリンは、現在使用されている抗凝固薬の中で最も古いが、新しい直接経口抗凝固薬(DOAC)が次々と登場してからも広く処方されている。 その理由としては、ワーファリンにしかない以下の利点があるため。 *ワーファリンの利点 ・半減期が長いため、反…

アセトアミノフェン中毒

アセトアミノフェンの大部分は、肝臓でグルクロン酸抱合や硫酸抱合を受けて代謝されるが、一部はCYP450代謝経路に入り、毒性の持つN-アセチル-p-べンゾキノンイミンが生成される。 通常量の服用であればこの代謝物はグルタチオン抱合により無毒化されるが、…